知性を磨く「スーパージェネラリスト」の時代 田坂広志

ビジネスにおいて個人をジェネラリストとスペシャリストに分けて考えて適正やキャリアパスを考えることがあります。

私も若い頃、自身をスペシャリストと捉えてそのキャリパスを考えていましたが、経験を重ねるにつれジェネラリストとしての素養や需要を感じるようになり、以降はジェネラリストとしてのスキル向上、経験の積み重ねを行ってきました。

そういったなかで副題にある「スーパージェネラリスト」というワードにも自然に惹かれ本書を手にすることになりました。

なぜ高学歴の人物が、深い知性を感じさせないのか?

本書の冒頭は「なぜ高学歴の人物が、深い知性を感じさせないのか?」から始まります。

その疑問を解き明かすため、知性、そして知能、知識といった言葉の意味が解説されています。

【知性】とは、答えのない問いに対して、その問いを問い続けられる能力、【知能】とは、答えのある問いに対して、早く答えを思い出す能力、【知識】とは言葉で現れるもの、書物で学べるものと説明され、つまり学歴を得るために役立った【知能】や【知識】と、【知性】は必ずしも同等の能力にはならないということです。

知性の必要性

本書では地球の温暖化など環境問題が例に挙げられていますが、既に専門家が多いのに解決に至っていない事象は世の中にとても多く存在します。

それらを解決に導くには様々な分野の専門的研究を垂直的に統合できる人材、スーパージェネラリストの活躍が求められ、必要不可欠なその育成方法についても記載されています。

スーパージェネラリストに求められるもの

スーパージェネラリストは【ビジョン】【戦略】【戦術】【技術力】【人間力】【志】【思想】、これら計7つの分野において垂直に統合し、多重人格でのマネジメントを行うことが求められます。

経営者・管理者であればジェネラリストとして、7分野においてマネジメントを行っている人は少なくありません。

しかしながら分野間での粗密がアンバランスであったり、分野に対しての理解度が浅い、全ての分野間でのシナジー効果を生んでいないなどの課題があることが指摘されています。

多重人格のマネジメントとは?

各分野を統合してマネジメントするためには、自身も多重人格でのマネジメントを意識する必要があります。

必要なときに必要な人格が現れ、その場に処することができる、人格が切り替わる状況を、少し離れた所で見ている人格が現れるなど、自身を俯瞰的に捉えることによって複数分野におけるマネジメントを行うことが出来るとしています。

まとめ

知性と知能、知識の違い。

これらは理解しているようできちんと理解していなかった内容で、まさに目から鱗でした。

また「スーパー」と名の付く通り、従来のジェネラリストスキルを高度化させたたもの、それがスーパージェネラリストであることが理解できました。

そのスーパージェネラリストに必要な7つの項目と多重人格でのマネジメント、これらに関する具体的な育成アプローチが細かく説明されており、何故スーパージェネラリストが必要なのか、そのためにはどういったプロセスで人材を育成していくべきなのかが、とても分かり易く書かれている一冊です。