イベント中止の経済損失は年10兆円超??

コロナ禍では日常生活が大きく変わりました。日々のワークスタイルもそうですが、特に顕著な変化の一つが週末を中心としたイベントの自粛、中止にあると思います。人が集まることが「悪」とされるような雰囲気の中ですから仕方ありませんが、例えばライブ・コンサート、ミュージカル、スポーツといった娯楽的な性格の強いものから、国際会議や新商品の展示会、合同採用説明会といった、学術的、ビジネス的な要素の強いものも軒並み中止となっています。
それでは、これらが中止になったことの経済的な影響はどれぐらいのものなのでしょうか。少し古いデータにはなりますが、政府系金融機関の政策投資銀行が昨年3~5月に全国で催しがなくなったことによる「経済損失」の資産結果を公表しています。ちょうど、最初の緊急事態宣言が出た頃ですね。調査によると、3カ月間の経済損失は、推計できる対象1万5206件の合計で3兆256億円に上るそうです。

東京都は7800億円の損失

内訳を見ると、自治体などが開催するフェスティバル的なイベントの中止が1兆7411億円と最大で、次に音楽・文化イベントの9048億円が続きます。この数字は公表済みの主要イベントについて、主催者らに参加者数や消費単価を聞き取ってまとめたそうなので、実際の金額はもっと大きくなるそうです。一個人では想像もつかない金額の話ですね。
ここでは「仮に開催されていれば得られたはずの利益」を損失として扱っていますから、主催者や出演者はもちろん、飲食、小売、宿泊業者などに広く波及しています。3カ月分でこの数字ですから、年間では少なくとも10兆円は超えそうですね。
では、都道府県別ではどんな違いがあるでしょうか。もちろん、人口が多く施設も整っている東京都が最大でイベント中止による損失はおよそ7800億円を占めました。その他の地域も、損失額の大小は、ほとんど人口規模に沿うようです。関西、中京圏は多く、東北や南九州は小さい感じですね。もっとも、人口の少ない地域にとって、そうしたイベントは関連業者にとって貴重な収益源のはず。損失の絶対額が少ないからと言って、影響が小さいとは言い切れません。